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コントラバスの弓色々 Part-2


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昔スーザン・リプキンスが材料を選ぶ際に、とにかく重くて硬い材料を選ぶと言っていたことをふと思い出した。彼女は縁者が小田原にいて何度かこの地を訪れたことがあるという。重くて硬い材料というのはいかにもアメリカのコンバス奏者が好みそうなものである。一方、アイルランドに工房を構えるギャリー・リーヒ(Gary Leahy)はもっと軽い材料を使えと言っていたので、そもそものイメージが彼らの中では異なっていて、それはどこからくるのかというと演奏スタイルの違いに他ならない。ガチっとした弓を使って粘度の高い松脂を塗ってブンブン弾くのか、弓のしなりを利用して弦を捉えていくのかその違いだと思う。


昔の人はどの様な材料を使っていたのか興味を持ってずっと眺めているが、軽めの材料がどちらかというと多い。フェティークのコントラバス弓の比重は材料としては中ぐらいで1.05のものが多い。ドミニク・ペカットがバイオリン弓に好んで使った材料とほぼ同じである。数本測って全て同じ比重であったので、バス弓はこの材料と決めていたのかもしれない。一方、多くのバス弓をのこしたモリゾー一族はというと、もう少し軽めの材料を使用している。比重でいえば1から1を少し切るような軽めの材である。一部のフレッチナーも同じで軽い材料のものがある。


低音の弓ではヘアリボンの幅も演奏性を決める大事な要素である。ヘアリボンを狭くして同じ本数の毛をフロッグに詰め込んでもダメで、弓毛の束にある程度の幅がないと音に厚みが出ない。弦に接する面積が大事で、出てくる音が変わる。昔クラシカル期にお化けのようなバス弓が多く作られてヘアリボンの幅が5㎝を超えるような弓もあったが、ヘアリボンの幅を変えることで音や操作性が変わるので色々試していたのだと思う。

 
 

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鎌田 悟史 

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