ディヴィジョン・ヴィオールの弓
- Satoshi Kamata

- 2025年12月25日
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イギリスのクリストファー・シンプソン(1605~1669)が1659年に出版した“ディヴィジョン・ヴィオール”では、肘を伸ばして弓を構えるとある。大陸で行われていた演奏とは異なり、肘を伸ばした状態で肩関節を主に使い演奏したらしい。当時よく行われたのは即興によるバトルであり、力とスピードで相手を打ち負かさんとする荒々しいものであった。
シンプソンによれば弓は硬いものが好ましいが、あまり重くないものが良いという。毛の長さは68㎝ぐらいで、フロッグの高さは2㎝程でバイオリンのモダンボウと同じぐらい、長さは短いものが良いとある。肘を伸ばしてとあるのである程度の長さは必要であっただろう。弓に使用した材料はよく分からないが、この頃になるとイギリスの家具にはスネークウッドが使われるようになり目ざとい楽器職人達がこれを見逃す筈はないので、おそらくスネークウッドであったのではないか。
シンプソンが記した内容は楽器の構え方にはじまり、弦のチューニング、運弓の仕方、音階など多岐にわたる。バイオリン属ではここまで丁寧な指南書は類を見ず、シンプソンの遺したものを眺めているとガンバ属が弦楽器の歴史を拓いていったことを実感するのである。


